【建物見て歩き】歴史の詰まった東海館
もはや存在すら忘れられているであろう、不定期連載の建物見て歩きシリーズ。
今回は伊豆・伊東温泉に存在する「東海館」をご紹介です。
東海館は、元々は昭和3年に開業した温泉旅館。
外観からして古き良き日本建築で、温泉街の風情に良く溶け込んでいます。
その中で、塔のように突き出した楼閣風の部分が印象的ですね。
建物が横に長いのは、全ての客室が川側を向いているからです。
ではさっそく中に入ってみましょう。
廊下を歩いているだけで、もう趣がありまくりです。
変木という、形の変わった樹をふんだんに使っているのもこの建物の特徴だそうです。
ですがここの最大の特徴は、1階2階3階と、別の大工が作っていること。
そのため同じ建物なのに、まるで別の雰囲気が楽しめます。
この部屋は床柱に使われた変木と、障子にあしらわれた富士山の模様が風情を醸し出しています。
古民家風のこの廊下は個人的に一番お気に入り。
客間というより長屋的な雰囲気がありますね。
そして、大広間は想像以上に広かったです。
ちなみに奥に見える芸者さんは人形です。
大広間は掛け軸や床柱も超立派。
一方、浴室は温泉旅館とは思えないほどこじんまりしています。
なんか2~3人入ったら一杯になっちゃいそうですよね。
しかもなぜか造りが洋風。
建物の中心部分にはしゃれた坪庭も。
侘び寂びを感じますね。
この坪庭は吹き抜けになっていて、1~3階の全ての廊下から眺めることができます。
先程外観で楼閣のようになっていた場所は展望台になっていて、伊東温泉を一望できます。
今は背の高い建物が増えすぎてあまり眺めは良くないですが、作られた当初は視界が開けていたんでしょうね。
この温泉旅館、平成9年まで実際に営業していたそうです。
できればやっている内に一度泊まってみたかったですね。
…高くて泊まれなかったかもですが。
昭和の建物も趣があるねと思った方、クリックよろしくお願いします。